崔子方『春秋例要』一巻

○永楽大典本

宋の崔子方の撰。『宋史』芸文志には「子方、『春秋経解』十二巻、『本例』『例要』二十巻」とあり、『本例』と『例要』を併せて巻数を掲げている。つまり子方の原著は本書と『本例』を併せて一書としていたのである。朱彝尊の『経義考』には「『本例』『例要』二十巻。両者現存」とあり、ここでも二書に分けていない。現在、通志堂の刊行した『本例』は、目録だけを引き離して一巻に数え、二十巻という数に合わせているが、『例要』は欠落したままである。伝写のときに『例要』一巻が失われ、後世の人々は『本例』の目録を『例要』だと間違え、別にあった『例要』一篇の存在を忘れてしまったのだろう。彝尊が見たのもおそらくは〔目録を一巻に数えた〕本だったのだろう。だから「両者現存」などと間違った注をつけたのである。

このたび『永楽大典』を調べたところ、『例要』の佚文を多く引用していた。それらは数十百条にも分けられるが、関連する文字の下にまとめ、条文の連絡を探っていくと、まだ〔各条文を原本通りに〕つなぎ合わせることができた。そこで通志堂本掲載の目録と比べると、一字たりとも同じものがなかった。これで通志堂本の誤りが明白になった。謹んで前後の条文をつなぎ合わせ、概ね『本例』の順序に依拠して配列し、子方の〔『経解』『本例』『例要』の〕三書を原本の形に復元した(*1)。

『四庫全書総目提要』巻二十七



(*1)四庫本『例要』は『本例』に附されており、書前提要は存在しない。

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