陳岳『春秋折衷論』

(A)『文献通考』巻182

『春秋折衷論』三十巻

『崇文総目』に云う、唐の陳岳の撰。三伝の異同三百四条を比較し、各々の長所を選んで春秋の義を疎通させたものである。

(B)『読書志』巻3(王先謙校補本)

『春秋折衷論』三十巻

唐の陳岳の撰。本書は左氏伝を上とし、公羊伝を中とし、穀梁伝を下とし(*1)、その異同を比べて折衷したものである。唐代末期に〔十たび春官に登ったが、晩年は〕(*2)鐘伝の招集に応じて江西従事となった。

本書も盧仝『摘微』と並び宋元時代の経解類に散見する。従来は章如愚の『群書考索』から佚文を集めていたが、杜諤の『会義』により以上の佚文が収められているので、現在は両書によって佚文を蒐集する必要がある。

本書は左氏伝に重きを置きつつも、三伝折衷を志した研究として、宋代以後の春秋学の先蹤とされる。北宋中頃までは重視されたようだが、孫復・劉敞らの学説が提出されるに及んで急速に影響力を失ったらしく、以後は傍流の立場に追いやられた。



(*1)上中下は価値の上中下で、配列の順番ではない。
(*2)〔〕内は『文献通考』によって補う。

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