『春秋通論』二巻

○両江総督採進本

旧本には「宋人の撰」とあるが、氏名を記しておらず、諸家の書目にも記録はない。本書は周および列国の大勢を論じ、その興廃の理由を調べたものである。周および魯・斉・晉・宋・衛・鄭・楚・秦は各一篇、呉と越はまとめて一篇としている。いずれも古籍(*1)から記事を集め、成功と失敗について事後的説明を加えたものである。各句を事柄に関連づけ、各々伝文を引いて注釈としている(*2)。本書の議論の程度は低く、経文の解釈もなっていない。

『四庫全書総目提要』巻三十



(*)本書は現存しない。杜沢遜『四庫存目標注』巻6(267頁)は、『両江第一次書目』に「春秋通義、宋人、失名、抄本。春秋通論、宋人、失名、抄本。以上二種合一本」と云うと指摘する。

(*1)原本「旧文」。古籍と訳したが、恐らく三伝の旧文を指すと思われる。
(*2)原文「毎句隷事、而各引傳以爲之注」。原本散佚のため詳細は知り難い。小目に関係事件を付し、左氏伝を引いて注釈としたのだろうか。

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