『春秋四伝』三十八巻

○内府蔵本

編者は不明である。冒頭に杜預・何休・范甯・胡安国の四つの序文を載せ、次に春秋綱領として各学者の議論を載せ、次に春秋提要として周の十二王と魯の十二公、そして会・盟・戦・伐の数の挙げ、その要項を列挙している。次に春秋列国の図説を、次に春秋二十国年表を、次に春秋諸国興廃説を載せている。経文の下に左氏・公羊・穀梁の三伝を注記し、胡伝は別に標出し、まま音注を加えている。しかし特別に優れた解釈や参考にすべき意見はない。

さて元の兪皐の『春秋集伝釈義大成』は始めて三伝の後に胡伝を付したが、呉澄はその序文で「胡氏を並べたのは、時勢に従ったのだ」と言った。そして四伝という呼び方も、澄の序文に〔始めて〕見えるものである。胡伝が三伝の地位に並ぶようになったのは、既に元朝の初期からそうだったのである。本書はその版式からすれば元朝のもののようである。恐らく当時の郷塾の教科書であろう。

『四庫全書総目提要』巻三十



(*)本書は現存する。

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