『麟経指南』一巻

○永楽大典本

撰者の名が記されていない。冒頭に自序があり、「退修菴題」なる署名があるが、これも何者であるか詳らかにし難い。序文には「若くからこの経書(*1)を習い、進士登第を宿願としてきたが、老いて山林に身を潜めていた。兵火のため先代の書物がなくなったこともあり、暇を見つけては春秋の大義を並べ、科挙題目の模範例を立ててみた。引用すべき言葉は後に付し、まま先儒の破題(*2)を引いた」とある。恐らく元朝末期の郷塾の陋本であろう。

『四庫全書総目提要』巻三十



(*)本書は現存しない。

(*1)春秋経のこと。
(*2)破題とは問題の題意を単刀直入に論述する科挙の答案執筆法の一つ。

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