国家社会主義政党の綱領・主張

凡例

  • 新字体を用いたが、仮名遣いは原文のままとした。
  • 主として『日本社会主義』『国家社会主義』『国社』などの雑誌から抜き出したものである。
  • パンフレット類や正規の広告類からの引用でないため、掲載文章の完備の程度は不明である。
  • 原文に存在する明らかな誤植(漢字・仮名の類似によるもの)は、直ちに改正した。
  • 綱領などに見えるアラビア数字の番号は、本来は漢数字である。レイアウトの関係上、改変した。
  • 赤松克麿の国家社会党は、高畠素之との直接の関係はないが、便宜上掲載した。
  • 表(table)の罫線はレイアウト上載せたもので、原本には存在しない。

赤松克麿の国家社会党(綱領・主張)

綱 領

一君万民の国民精神に基き搾取なき新日本の建設を期す。


主 張

一、我党は国民運動により金権支配を廃絶し皇道政治の徹底を期す。
一、我党は合法的手段により資本主義機構を打破し、国家統制経済の実現により国民生活の保障を期す。
一、我党は人種平等、資源衡平の原則に基づき、アジア民族の解放を期す。

『日本社会主義』暫定綱領

  1. 我等は国家を以て望見し得らるゝ限りの未来に亘る人種の社会生活に必要欠くべからざる存在と信じ、この認識前提の下に日本国民共同社会の一大変革を期す。
  2. 我等は日本伝来の君主制を以て日本国民最適の国家形態と信じ、一切の経綸をこの前提の下に行はんことを期す。
  3. 我等は日本国家は日本国民の生活を保証するの責任あるものと信じ、これに必要なる一切の改革を要求す。
  4. 我等は生活手段の私有を基礎とする資本主義の無政府経済制度を以て我が国民の生活を圧殺するものと認め、出来得る丈け急速にこれが撤廃を期す。
  5. 我等は現日本国民大多数者の生活の窮乏を救済するは、生活手段の国有並びに国家に依る集中的統制経済の施行の外に途なきものと信じ、あらゆる手段を尽してこれが実現を期す。
  6. 我等は、日本国民は全て平等の権利及び義務を有し、且つ何人も公益に反して私益を追ふ能はざることを要求し、これに反したる者を非国民と認め徹底的な排撃を期す。
  7. 我等は、あらゆる国民は其の生存資源に於て包有人口を基礎とせる平等の権利を有すべきものと信じ、その包有人口に顧みて過分の土地及び資源を占有せる国民は、他のあらゆる資源過少国民に対してその門戸を開放すべきことを要求す。
  8. 我等は右の立場及び標準よりして、我が国民の培養に必要なる土地及び資源を公然世界の過当占有国民に対して要求す。
  9. 我等は、現在の白色民族の圧制及び搾取を以て許すべからざるものと認め、全有色民族を糾合して一大民族同盟を結成し、以て之が全的解放を期す。
  10. 我等は右の見地に立つ新たなる国際同盟の結成を世界各国民に向つて提唱要求し、これが実現を期す。之に反対する者は世界平和の敵と認め、あらゆる手段を尽してその克服を期す。

日本国家社会主義学盟関係

日本国家社会主義学盟の誕生

日本国家社会主義運動の主体たるべき国家社会主義党は将に結成されんとしつつあるが、これに先んじて先づ各方面の国家社会主義者有志代表に依つて『日本国家社会主義学盟』が結成された。(四月五日―十八日)宣言綱領、規約、役員等は次の如し。因に、同学盟は端的に言へば英国社会主義運動に於ける『フヱビアン協会』の如き役割を果さんとするものである。


日本国家社会主義学盟綱領

今や我日本は明治以来未曾有の危機に遭遇してゐる。見よ、対内的には資本閥の暴虐は傍若無人を極めて国民生活を蠹毒し、産業は停廃して勤労大衆は餓死線上に彷徨し、政党政治の堕落は極点に達して民心全く離叛し、思想は益々激化して極左極右共に跳梁し、対外的には欧米列強の資本主義的帝国主義の圧迫により日本を国際的孤立に陥らしめ、人心は恟々として其帰趨に迷ひ国運の前途暗澹として測るべからざるものがある。

かゝる危局に直面して我々は何を為すべきか。須らく資本と政党との野合的勢力を徹底的に打倒し、彼等に依つて壟断されつゝある政治的経済的支配を完全に排除すると共に、白色帝国主義の野望を根本的に打破し以て内外の国難を匡救し上天皇と下国民大衆との間に何等の階級的特権の介在をも許さゞる新政治形態と新経済組織の上に、真に国民大衆の福祉を確保すべき更正日本を建設し、以て昭和維新の大業を完成すべきである。然して其の唯一の方法は日本国家社会主義の実現以外にあり得ないことを我々は確信して疑はざるものである。

日本国家社会主義とは何ぞや。惟ふにそれは飽くまでも国体の尊厳を維持し、国家社会主義を奉じて個人主義を排し、新たなる国民主義に立脚して在来の国際主義を斥け、社会的諸弊害の源泉たる資本主義を廃絶し、土地及び資本を国有としてその営利性を剥奪し、之を国法の下に統制して国利民福に適合せしめ、搾取制度を撤廃し階級の対立を根絶し、依つて以て全国民的基礎の上に社会主義を樹立せむとするものである。この日本国家社会主義の実現によつてのみ初めて日本国民の生活は安定し、国民的協働は強化し国力は充実し、進んで全有色民族を糾合し、以て白人種の支配よりこれを解放し得べきである。

如上の趣旨に則り本学盟は左記の目的を貫徹せんとするものである。

一、本学盟は国家社会主義の理論及び方法を学術的に研究し且つ之を全国民に徹底せしめんことを期す。

二、本学盟は国家社会主義を否定し或は之に背反する一切の思想を排撃克服せんことを期す。

三、本学盟は国家社会主義の実現を目的とする諸運動を支持し極力之を援助せんことを期す。

昭和七年四月

日本国家社会主義学盟


日本国家社会主義学盟規約

(一)総 則

一、本学盟は日本国家社会主義学盟と称し本部を東京に置く。

二、本学盟は国家社会主義の理論及び方法を研究し且つその普及を以て目的とす。

三、本学盟は本学盟の綱領を信奉する日本国民を以て組織す。

(二)組 織

一、本学盟に左の機関を置く

(1)幹 事 会
(2)常任幹事会
(3)事 務 局

二、幹事会は幹事長一名及び幹事若干名を以て構成し、本学盟の最高協議機関とす。

三、常任幹事会は常任幹事若干名を以て構成し、本学盟の最高執行機関とす。

四、事務局は常任幹事会の統制下に属し主事一名及び局員若干名を以て構成し本学盟の常務処理に当る。

五、本学盟は幹事会の推薦に依つて顧問を置くことあるべし。

六、本学盟は必要に応じ各地に支部を置くことあるべし。

七、本学盟に加入する者は本学盟員二名以上の紹介を要するものとす。

八、本学盟員は応分の経費を負担するの義務を有す。

(以上)


本学盟役員左の如し

顧 問

下中彌三郎 島中雄三 大川周明

幹事長

林癸未夫

常任幹事

佐々井一晁 近藤栄蔵 小池四郎 矢部周 山名義鶴 松延繁次 赤松克麿 高橋忠作 ×××× 平野力三 石川準十郎 狩野敏 津久井龍雄 片岡気介 五十嵐隆

事務局

主事石川準十郎 今里勝雄 藪本正義 田代耕三 別府峻介 五十嵐隆

日本国家社会主義学盟改組宣言

日本国家社会主義学盟改組宣言

我が日本国家社会主義学盟と日本社会主義研究所とは、本昭和七年十二月一日以後を以つて改組合体し日本国家社会主義学盟の統一名称の下にその運動を進めて行くことにした。蓋し斯くすることが、日本国家社会主義運動の前進の為に、必要にして且つ有效なる方法と信じたからである。

思ふに、我等の日本国家社会主義運動は、今や一の重大なる試練期に際会してゐる。内に於いては尚ほ強固なる統一を缺き、外に於いては暴逆なるブルヂォア反動政治の危険の前に曝されてゐる。来たるべき時期に於いて我等が、マルクス主義者と単なる反動国家主義者との両側挟撃に会ひ乍ら、一層大なる弾圧と迫害との下に立たねばならないことは、火を見るより明らかである。国家社会主義運動が一朝にして、棚ボタ式に、華やかなる政治的舞台に上るが如く考ふるのは、裏切り的狂想以上の何物でもない。国家社会主義運動、国家社会主義者の前には、長い荊棘の道が予定されてゐる。

而して我々が能くこの困難に対抗し、これを能く克服して行かんが為には、先づ第一に強固なる思想的結合とその果敢なる思想戦とを必要とする。全戦線に亘る固き思想的統一、全国家社会主義団体を貫ぬく縦横の思想的結合、而してその組織的計画的活動を絶対に必要とする。これなくしては一切の運動は勝利の道へ進み得ない。

我等は茲に深く省みるところあり、深く将来を期して、前記の如く日本国家社会主義学盟及び日本社会主義研究所を改組合体し、大なる決意の下に、一路所期の目的に向つて邁進せんとするものである。希くば普ねく同志諸君の万難を排して参加協力せられんことを!

日本国家社会主義学盟
日本社会主義研究所

新‐日本国家社会主義学盟

日本国家社会主義学盟暫定綱領

  1. 我等は我が国固有の天皇制を以つて我が国最適の国家形態と信じ一切の経綸をこの信念の下に行はんことを期す。
  2. 我等は日本国民は凡べて労働の義務を有し国家は国民の生活及び生存を保障するの責任ありと信じこれに必要なる一切の改革を期す。
  3. 我等は資本主義経済組織は国民生活の維持発展を阻害するものと認めこれが撤廃を期す。
  4. 我等は現国民生活窮乏の打開は生産資材の公有生産及び分配の公営を原則とする集中的国家計画経済の樹立に在りと信じこれが実現を期す。
  5. 我等は世界各国民はその生存資源に於いて平等の権利を有すべきものと信じ過当資源独占国民に向つてその開放を要求し以つて新世界秩序の創建を期す。

我等は以上を以つて基本綱領とする国家社会主義を絶対的に信奉し、果敢に全国大衆にこれを宣伝普及し、且つ、これに背反する一切の思想の排撃克滅を期すると共に、全国家社会主義者の固き思想的統一的結合を計り、凡ゆる国民層を縦横に貫く一大思想組織を形成し、以つて、国家社会主義運動の大成を期するものである。


暫定規約

一 総則

一、本学盟は日本国家社会主義学盟と称し本部を東京におく。

二、本学盟は本学盟の綱領を信奉する者を以つて組織す。

二 組織

三、本学盟に左の機関をおく。

一、中央委員会
二、中央常任委員会
三、事務局

四、中央委員会は本部及び支部選出に依る中央委員を以つて構成し本学盟の最高協議機関とす。

五、中央常任委員会は、中央常任委員を以つて構成し本学盟の執行機関とす。

六、中央常任委員会統制下に左の専門部をおく各部長及び部員は中央常任委員会これを任命す。

一、組織部
二、教育宣伝部
三、機関紙部
四、財務部

七、事務局は中央常任委員会の統制下に属し主事一名及び局員若干名を以つて構成し本学盟の常務処理に当る。

八、本学盟は中央常任委員会の推薦に依り顧問若干名をおく。

九、本学盟は各地に支部をおく。(支部細則は別に之を定む。)

十、本学盟員は規定の盟費を負担するものとす。

(以上)


学盟役員

顧 問

林癸未夫
大川周明
下中彌三郎
島中雄三

中央常任委員

近藤栄蔵
松本悟朗
矢部 周
平野力三
石川準十郎
高橋忠作
五十嵐隆
別府峻介
坂本八郎

事務局員

石川準十郎(主事)
五十嵐隆
田辺三郎
別府峻介
坂本八郎
池田禎治
小林三郎

各専門部長

組織部長     坂本八郎
教育宣伝部長  田辺三郎
機関紙部長    別府峻介
財務部長     五十嵐隆

大日本国家社会党党誓綱領

党 誓

光輝ある建国の本義に基き君民一如搾取なき新日本の建設を期す

綱 領

  1. 我等は我国古来の天皇制を以つて我国最適至上の国家体制と信じこれが絶対遵奉の下に我国家及び国民の一大歴史的更生を期す。
  2. 我等は現行資本主義の無政府経済組織を以つて現下の我が国家及び国民生活を危うする最大なるものと認め公然の国民運動に依りこれが改廃を期す。
  3. 我等は現下の我が国民生活の救済は国家に依る集中的計画経済の施行に依るの外なきものと信じ合法的方法に依りこれが達成を期す。
  4. 我等は凡ゆる国民はその生存の自然的基礎(土地及び資源)に於いて平等の権利を有するものと信じ我が国民の生存に必要なる土地及び資源を公然世界の過当占有国民に向つて要求す。
  5. 我等はアジア民族及び有色民族の解放を以つて世界人類に負ふ我が国民の与へられたる使命なりと信じ一大民族運動に依りこれが実現を期す。

大日本国家社会党宣言・党誓・綱領・規約

結党宣言

永くして尊き歴史を持つ日本国家社会主義は、幾度か反動及び赤色の嵐に見舞はれつゝ、而も尚ほ毅然としてその光輝ある旌旗を死守し来たることが出来た。殊にこの両三年来一部不純転向分子の離反常無き行動に依つて絶えず悩まされつゝも、我等が同志は血の軍旗を一層高く奉持しつゝ、益々同胞大衆の中に浸透前進することが出来た。国家社会主義は今や唯一の恐るべき未来を持つ力として全既成勢力を根底より脅威すると共に、不可解の怪物として赤色反動共に畏怖せしめつゝある。

我が国家社会主義の陣営は、同胞大衆の終局的解放主体として、尚ほ未完成の中に置かれてゐた。これが主体としての党――国民の党――の結成こそは我等の最大緊急の任務である。我等は今こそ従来の陣容を一個の公然の党にまで再整備して前進するの必要に迫られてゐる。真正国家社会主義の党にである。

茲に我等同志相寄り「大日本国家社会党」を創設す。その数や少く、その力や尚ほ小なりと雖も、その憂国愛民の精神は宇内を圧す。真摯なる全国同志の手に成る我が大日本国家社会党こそは唯一真正の国家社会主義運動の主体であると共に、やがて我が光輝ある祖国の唯一の救済者たるであらう。

茲に歴史的結党の血盃を捧げるに当り広く天下に所信を披瀝し一死以つて今後の闘争を誓ふものである。

昭和九年三月十日

大日本国家社会党


党誓

光輝ある建国の本義に基き君民一如搾取なき新日本の建設を期す。


<綱領>

  1. 我等は我国古来の天皇制を以つて我国最適至上の国家体制と信じこれが絶対遵奉の下に我国家及び国民の一大歴史的更正を期す。
  2. 我等は現行資本主義の無政府経済組織を以つて現下の我が国家及び国民生活を危うする最大なるものと認め、公然の国民運動に依りこれが改廃を期す。
  3. 我等は現下の我が国民生活の救済は国家に依る集中的計画経済の施行に依るの外なきものと信じ、合法的方法に依りこれが達成を期す。
  4. 我等は凡ゆる国民はその生存の自然的基礎(土地及び資源)に於いて平等の権利を有するものと信じ我が国民の生存に必要なる土地及び資源を公然世界の過当占有国民に向つて要求す。
  5. 我等はアジア民族及び有色民族の解放を以つて世界人類に負ふ我が国民の与へられたる使命なりと信じ、一大民族運動に依りこれが実現を期す。

「註。綱領第二条及び第三条に付き当局より注意あり、右の如く若干の字句を修正して目下交渉中なり。尚ついでに、前の結党と共に発表せる綱領六ケ条の中、第四条と第五条とを併合してこれを第五条に納めたる外、他にも若干の字句を修正せり。然しその精神及び意味に於いては不変とす。」

<政策>

政治

一、天皇政治を発揚せしむべく政治組織の改革
二、資本家本位の諸法令の改廃
三、選挙法の徹底的改造

財政

四、勤労国民負担の軽減
五、財産税、相続税、所得税、資本利子税等々の高率累進課税
六、生活必需品に於ける消費税の撤廃

金融

七、大金融機関の国営又は公営
八、取引所の廃止
九、信用組合の助長と小口金融機関の普及
十、支払不能借金に対する法律的強制の長期的猶予
十一、利子の限定と高利貸の厳罰

産業

十二、重要産業機関の国有並に国営
十三、海外貿易の国営又は国家統制
十四、保険業の国営又は公営

労働

十五、生活賃銀並に俸給の保證
十六、労働時間制の確立
十七、国家による失業者並に貧困者の生活保證

農村・都市

十八、土地の国有
十九、耕作地の確立
二十、主要農産物の価格統制と米穀の国家管理
廿一、肥料の国営
廿二、協同組合制度の助長
廿三、公営住宅の普及と貧民窟の撤去

教育

廿四、教育に於ける機会均等と公費教育の徹底
廿五、教員の厳選と優遇
廿六、国家精神の涵養
廿七、邪教の撲滅

社会

廿八、恩給制の廃止と養老年金制度の実施
廿九、医療の国営
三十、廃兵、公傷者及び国防犠牲者家族に対する国家の保護
卅一、社会的差別観念及差別待遇の徹底的打破

軍事

卅二、国民皆兵制の徹底と国防の充実
卅三、軍備均等権の確立

国際

卅四、自主的外交の確立
卅五、亜細亜弱小民族自治の確認とその保護
卅六、国民経済の確立に必要なる海外資源利用権の確保
卅七、東洋平和を確保すべき亜細亜聯盟の結成


<党則>

第一章 総則
党名
第一条 本党は大日本国家社会党と称し本部を東京に置く
目的
第二条 本党は党誓、綱領、政策の実現を期するをもつて目的とす
構成
第三条 本党は党誓、綱領、政策を遵奉し、党則に服する個人をもつて構成す
第二章 機関
第四条 本党に左の機関を置く
一、中央党務局会議
二、地方党務局会議
三、党大会
一、中央党務局会議
第五条 中央党務局会議は最高の決議及執行機関にして、総理中央党務局長及各部長を以て構成す
第六条 中央党務局会議は総理の命により随時之を開催し、議長には総理自ら当るものとす
第七条 中央党務局会議は所定の員数の三分の二以上の出席を以て成立す
第八条 総理は年一回中央党務局会議に訪問し中央党務局長、各部長及び地方党務局長を任命す、尚ほ総理は本会議に於て顧問を推薦す
第九条 中央党務局会議は党務担当執行の目的をもつて左の機関を置く
(イ)組織部(ロ)宣伝部(ハ)資金部(ニ)国際部(ホ)調査部(ヘ)機関紙部(ト)書記部、其他
二、地方党務局会議
第十条 地方党務局会議は該地方に於ける最高の決議及執行機関にして、地方党務局長及同局各部長をもつて構成す
第十一条 地方党務局会議は地方党務局長の命により随時之を開催し、議長は地方党務局長之に当る
第十二条 地方党務局会議は所定の員数の三分の二以上の出席をもつて成立す
第十三条 地方党務局長は年一回地方党務局会議に諮問し、総理の認可の下に各部長及支部聯合会長を任命す
第十四条 地方党務局会議は常務担当執行の目的をもつて左の機関を置く
(イ)組織部(ロ)宣伝部(ハ)資金部(ニ)調査部(ホ)書記部(ヘ)其他
三、党大会
第十五条 党大会は総理の命により年一回以上之を開催す
第十六条 党大会は総理を選出す
第三章 役員
第十七条 本党に左の役員を置く
一、総理 二、中央党務局長 三、中央党務局各部長 四、中央常任書記 五、地方党務局長 六、地方党務局各部長 七、地方常任書記 八、顧問
第十八条 総理は本党を代表し、党務を統括す、中央党務局長及同各部長は総理を補佐す
中央常任書記は中央党務局書記長を補佐す
地方党務局長は該地方の党務を統括す
地方党務局長各部長は地方党務局長を補佐す
地方常任書記は地方党務局書記長を補佐す
顧問は総理の諮問に応ず
第四章 組織
第十九条 本党の支部組織は原則として市町村単位とす
第二十条 本党の支部聯合会は原則として道府県を一単位とす
第二十一条 本党の地方組織は関東、関西、北陸、東北、北海道、九州、山陰、山陽、四国、其他を他にとす、支部、支部聯合会、地方組織の規約は別に之を定む
第五章 会計
第二十二条 本党々費は一名に付き年限一円とし二期に分納するものとす、但し入党と同時に前期分を納入するを要す
地方党務局が中央党務局に納入すべき責任額は中央党務局之を定む
第二十三条 本党の予算は中央党務局会議之を定む
第二十四条 本党の会計は中央党務局会議之を公表す
会計年度は毎年三月一日より翌年二月末日までとす
第六章 罰則
第二十五条 本党々員にして左の一に該当する場合は総理は査問委員会に附したる上之を除名す。但し査問委員は適時総理之を任命す
一、党則に反したるもの。二、党の名誉をけがしたるもの。三、党の統制を紊したるもの
地方党務局会議は中央党務局会議に前項に該当するものゝ除名を申請することを得
附則
第二十六条 本党々則は中央党務局会議の四分の三以上の承認を得るに非ざれば、之を変更することを得ず
第二十七条 本党々則施行細則は別に之を定む
第二十八条 本党々則は昭和九年三月十日より之を実施す

<地方組織細則>

第一章 地方党務局
第一条 本党の地方組織は、関東、関西、北陸、東北、北海道、九州、山陰、山陽、四国、其他を単位とす
第二条 地方党務局会議は左記の都市に之を置く
関東地方……東京市 関西方面……大阪市 北陸地方……富山市 東北地方……盛岡市 北海道地方……札幌市 九州地方……八幡市 山陰地方……鳥取市 山陽地方……広島市 四国地方……松山市 其他
第三条 地方党務局会議の内規は総理の許可を得るを要す
第二章 支部聯合会
第四条 支部聯合会は原則として道府県を単位とし、二個以上の支部ある場合にこれを組織す
第五条 支部聯合会の所在地は地方党務局長が総理の許可の下に之を指定す
第六条 支部聯合会の役員は支部聯合会長が年一回支部聯合会に諮問し、地方党務局長を経て総理の許可を得たる後之を任命す
第七条 支部聯合会は常務担当執行の目的をもつて左の機関を置く
(イ)組織部(ロ)宣伝部(ハ)資金部
(ニ)調査部(ホ)書記部(ヘ)其他
△支部聯合会の内規は地方党務局長の許可を得るを要す
第八条 支部組織は原則として市町村単位とす
第九条 支部の所在地は地方党務局長が総理の許可の下に之を指定す
第十条 支部長は地方党務局長が総理の許可の下に之を任命す
第十一条 支部役員は支部長が年一回支部に諮問し、支部聯合会長、地方党務局長を経て総理の許可を経たる後之を任命す
第十二条 支部は常務担当執行の目的をもつて左の機関を置く
イ、組織部 ロ、宣伝部 ハ、資金部
ニ、調査部 ホ、書記部 ヘ、其の他
第十三条 東京、大阪の如き大都市に於ける支部は、その下位組織として班を設くることを得、班の所在地、役員は支部長之を決定す
第十四条 支部は原則として、党員五十名以上をもつて組織するものとす。但し必要なる場合は地方党務局長の許可の下に之を組織することを得
第十五条 支部内規は地方党務局長の許可を得ることを要す
附 則
一、本規約は中央党務局会議之を随時変更することを得
二、本規約は昭和九年三月十日より実施す(以上)

<本部役員>

総理 石川準十郎
中央党務局長 斎藤直幹
組織部長 斎藤直幹
宣伝部長 勝谷為友
資金部長 宮川千之助
機関紙部長 別府峻介
調査部長 鷲野隼太郎
書記長 相良政行
常任書記 関俊二
顧問海軍少佐 金子忠吉

本部所在地

東京市芝区田村町二ノ一〇赤門ビル
電話銀座・一三三二・五〇二四番


全国同志に檄す

――『国社党報より』――

待望久しかりし純正国家社会主義の党――「大日本国家社会党」が結成された。去る三月十日、偶然にも日露戦役奉天大勝の佳き日(陸軍記念日)に、我が純正国家社会主義者は断乎として一部不純分子の策動に基づく運動の歪曲、内紛を克服して起ち、兼ねて用意せる所に基づき疾迅雷的に結党の挙に出で、同志五十名明治神宮に詣でて神前に於いて結党を誓明すると共に、以上の如き宣言・綱領・規約を発表し、且つ直ちに当局にこれが結社届を出した。斯くて永くして尊き歴史を持つ我が日本国家社会主義運動の主体!大日本国家社会党は茲に結成され、歴史的国民運動の主体としてその光輝ある第一歩を踏み出すことになつた。

全国同志よ! 祖国の救済を志す愛国愛民の士よ! 即時参加せよ! 真に祖国の将来を担ふ者は我が党を措いて他に絶対に無い。我等は茲に湧き上る大なる歓喜を以つて我が大日本国家社会党の結成を告げ、広く天下の同憂の士に参加協力を求むるものである。

大日本国家社会主義協会宣言・党誓・綱領・規約

宣言

永くして尊き歴史を持つ日本国家社会主義は、幾度か反動及び赤色の嵐に見舞はれつゝ、而も毅然としてその旗を持ち続ける事が出来た。殊にこの両三年来、一部不純転向分子の離反常無き歪曲行動に依つて終始妨げられつゝも、我等の旗を益々高く掲揚しつゝ、各社会層に亘つて益々深く浸透前進することが出来た。

国家社会主義は今や唯一の将来ある恐るべき力として国民の奥深く成長しつゝある。

この時に当つて、我等は我等の陣容を更に再整備して前進するを必要とする。清算すべきものは清算し、適材適所に立ち運動をより效果的に全面的に進めるを必要とする。従来の日本国家社会主義学盟の組織はその当時の成立の環境の故に各方面に広く浸透する思想組織として種々の難点を持つてゐた。我々は今や一歩前進してより弾力的效果的なる体形を採るべき時期である。これ即ち従来の日本国家社会主義学盟を発展的に解消して、茲に大日本国家社会主義協会を組織する所以である。

希くば全国同志諸君に於てはその職業及び所属団体の如何を問はず、これと協力せられんことを。

昭和九年三月六日 地久節の佳日

大日本国家社会主義協会


綱領

  1. 我等は我国固有の天皇制(皇室中心制)を以つて我国最適最高の国家体制と信じ、一切の経綸をこれが前提の下に行はんことを期す。
  2. 我等は一体としての国家及び国民の確保を以つて最高の道義と信じ、何人も共同の利益に反して私利を追ふ能はざることを要求す。
  3. 我等は日本国家は日本国民の精神的及び物質的生存を永劫に亘りて確保発展せしむるの使命を持つものと信じ、これが国家使命の実現に必要なる一切の改革を期す。
  4. 我等は社会生産資材の私有を基礎とする現行資本主義の無政府経済組織を以つて現下の我が国民生活を脅やかす最大なるものと認め、これが窮極的撤廃を期す。
  5. 我等は現国民生活の救済は原則として生産資材(金融機関も含めて)の国有を前提とする集中的計画経済の施行に頼るの外無きものと信じ、これが窮極的実現を期す。
  6. 我等は日本国民は凡てその出立点に於いて平等の権利及び義務を有すべきものと信じ、一切の不当なる特権及び差別の廃止を期す。
  7. 我等は凡ゆる国民は平等の生存権を有するものと信じ、共存共栄の見地よりして国際的に一切の不当なる差別の撤廃、新なる世界秩序の創建を期す。
  8. 我等は凡ゆる国民はその自然の生存基礎たる土地及び資源に於いて平等の権利を有するものと信じ、その包有人口に照し他国民に比し過当の土地及び資源を占有せる国民はこれを他の過少占有国民に対して譲渡又は開放すべきことを要求す。
  9. 我等は我が国民がその包有人口に顧み世界に於いて最も不当に貧少なる土地資源の所有者たる事実に基づき、我が国民の扶養に必要なる応分の土地及び資源を公然世界の過当占有国民に向つて要求す。
  10. 我等は我が国民を中心とし近縁諸民族を綜合せる東亜にまたがる一大国家の建設を以つて世界に追ふ我が国民の使命なりと信じ、これが将来的実現を期す。

規約(暫定)

  1. 本会は大日本国家社会主義協会と称し、本部を東京に置く。
  2. 本会は本会綱領の示す日本国家社会主義思想運動の展開を以つて目的とす。
  3. 本会は本会綱領に賛成する個人を以つて組織し会長之を統率す。
  4. 本会は会長一名、主事一名を置き他の役員は適宜会長よりこれを指名嘱任するものとす。
  5. 諸他の件務は会長の指導決裁の下に主事を中心とする幹事会これを適宜に処理して行くものとす。
役員
会長 石川準十郎
主事 別府峻介
書記 右近良一(兼会計)
常任幹事 三奈島愛一(福岡)
樋口喜徳(大阪)
鷲野隼太郎(東京)
香月幸造(東京)
放生進一(東京)
春日正治(東京)
河原正雄(東京)
田辺三郎(東京)
森田卓三(東京)
長谷川正(東京)
顧問 若干名(会長より適宜に交渉嘱任す)

日本経綸学盟創立趣意書

祖国内外の事態は、我が国家及び国民をして、最早これ以上の旧套維持、姑息倫安を断じて許さない。凡ゆる現状維持緩和の企図及び政策にも拘はらず、国内的行詰りも対外的危機も毫も打開されず、反対に益々進行の一路を辿つてゐる。

日本国家乃至国民は、今にして深く内省し一大決断を以つてこれに処すること無くんば、これ以上最早前進し得ざるのみか、内に外に廃頽の一路を辿るの外はない。このまゝにして推移せんか、外に於いては満洲国の維持経営、独立保全すらも不可能となり、内に於いては益々窮乏と不和とを招来し、一旦外難あればその内部より崩壊するの外はない。

然るに此時に当り、真に能く一世の向ふべきところを示し、国民に理想と光明を与へるところの、明確な指導原理乃至方策が何処にあるか! 為政者階級は『不祥事件』起りて始めて『庶政一新』の必要を知り、愛国団体は何等ハツキリせる革新方針を持たずして、徒らに革新を口にす。たまたま『革新方針』を提示する者あれば、いづれも、俄か作りの附け焼刃の類か、然らずんば時代錯誤の骨董品的類のみ。

我等は、日本民族血縁共同体=運命共同体の観念よりして、皇室を中心とする謂はゆる『皇室中心社会主義』又は『国家社会主義』を唱へて茲に久し。而して今また、その正しくして且つ唯一の真の新日本建設の指導権利たるべきを信じて疑はず。然るに我等の菲才微力、この昭和に入りての幾年かも力を尽して戦ふと雖も、種々の事情及び勢力に妨げられ、その主張を広く徹底せしむる能はずして今日に及ぶ。

が、七度生れ代つても戦はんことは、元より我等の覚悟なり。死せる先輩の遺訓なり。即ち、祖国益々多難の秋、茲に新たに『日本経綸学盟』を興し、大日本国家社会党の運動を扶けて、日本国家社会主義の宣揚及びその研究の普及に従事せんと欲す。茲にいささかその趣旨を宣明し、以つて世の識者の指導鞭撻と協力応援を希ふものなり。

昭和十二年一月

日 本 経 綸 学 盟
代表者 石川準十郎

組織

一、自発的同向の士を以つて組織す。
二、同人は責任を以つて必要なる調査研究其の他に従事すべきものとす。
三、経費は同人の自弁、献金及び有志の寄附を以つてす。

事業

一、調査研究
二、図書出版
三、同志養成

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