谷真潮にいは『北渓集』なるものが残っており、現在でも『土佐国群書類従』巻123上中下や、土佐国山内家宝物資料館所蔵の『北渓集』三冊本に実物を確認できる。本書はいわゆる文集の一つで、内容は監視から墓碑・雑文・経学議論に至るまでを含んでいる。しかし標題と内容の異なるものがあるなど、未だ完成前の文集と目される。この『北渓集』は現在では『土佐国群書類従』の新版(第十巻)に収録され、閲覧も容易になったが、まだまだ真潮の知名度は低い。そこでネットの検索に引っかけるべく、以下に『北渓集』の篇目を挙げておく。
底本には新版『土佐国群書類従』を用いた。また〔 〕は新版の補記を指す。なお『土佐国群書類従』および土佐国山内家宝物資料館所蔵の『北渓集』は旧漢字。
〔注〕
(*1)土佐国山内家宝物資料館所蔵『北渓集』にのみ見える。
(*2)便宜上しばらく新版『土佐国群書類従』の目録に従うが、本文に「谷垣守夫妻伝」の題目は見えない。また真潮の他の著述によると、谷垣守の伝記とその妻(真潮の母)の伝記は、各々別に記されている。したがって谷垣守の伝記とその妻の伝記は、別篇と見なすべきとも言える。
真潮が『神道本論』『論仏』『論聖』を著して三教の指帰を示したことは、その伝記に記されているが、本『北渓集』にはそのうちの『神道本論』と『論仏』が含まれている。両篇ともかつて単行した書物で、現在も『論仏』は『論聖』とともに土佐国山内家宝物資料館に所蔵されている。『神道本論』の単行本もかつて存在したらしいが(土佐史料の一つ)、戦災で焼失した。なお『北渓集』所収の各篇は、土佐国山内家宝物資料館所蔵の『北渓集』(草本)、『北渓随筆』などにも散見される。
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