宰執一覧凡例

注記

  • 本表は『宋史』宰輔表記載の宰執を一覧表にしたものである。
  • ここでいう宰執は、正副宰相と参知政事、枢密院、あるいは左右僕射と両侍郎・丞轄、枢密院を指す。
  • 宋代の宰執は元豊官制施行前後によって異なるので、本表も大きく二つに分けた。
  • 政和二年および滅亡まぎわにも官制の変更があるがこれは区分しなかった。本表の徽宗3以後がおおむね新官制に当たる。
  • 原則として『宋史』宰輔表の記載に随ったが、同書に矛盾や闕失がある場合は、他書によって補った。ただし一々注記していない。
  • その他、細かい点は省略した。
  • 19の表を設けたが、各表によって宰執の名称と覧の場所に変動がある。
  • 19表の区分は皇帝と政権によった。ただし分量の関係で適宜区分した場合もある。
  • 表中、○は新任、▲は死亡、×は表外に出たことを意味する。×は罷免・致仕など諸種の理由があり、一概に左遷を意味するわけではない。
  • 人名横に印がなく人名が消えた場合、表内の何処かに移動したことを意味する。
  • 同知枢密院事など、任用者が複数人いる場合、表の大きさに随い、並列表記した場合と、同時に二人記した場合とがあるが、どちらも同じ意味である。
  • 名誉職として三公などの除授があった場合、煩瑣をさけるため一切省略した。ただし政和二年以後の官制改革によって宰相の職となった太師については表記している。
  • その他、各表特有の注意事項は各表最後に附した。
  • 最後に御約束。正確を期したつもりですけど、間違っていても責任は持ちません。

略号

  • 軍国重事→平章軍国重事
  • 軍国事→同平章軍国事/同平章軍国重事
  • 首相→同中書門下平章事で昭文館大学士を兼ねたもの。次相がいない場合は首相が昭文館大学士と監修国史を兼ねる。
  • 次相→同中書門下平章事で監修国史を兼ねたもの。首相がいない場合は独相(単独の宰相)となり、首相に同じ。
  • 末相→同中書門下平章事で集賢殿大学士を兼ねたもの。首相と次相がいない場合は独相(単独の宰相)となり、首相に同じ。
  • 左僕射兼門下侍郎→尚書左僕射兼門下侍郎
  • 右僕射兼中書侍郎→尚書右僕射兼中書侍郎
  • 知院事→知枢密院事
  • 同知院事→同知枢密院事
  • 簽書院事→簽書枢密院事
  • 同簽書→同簽書枢密院事
  • 領枢密→領枢密院事(同知枢密院事に同じ)
  • 権領→権領枢密院事(同簽書枢密院事に同じ)

参考資料

  • 『宋史』宰輔表(中華書局)
  • 『宋宰輔編年録校補』(中華書局)
  • 『続資治通鑑長編』(中華書局)
  • 『続資治通鑑長編拾補』(中華書局)
  • 『資治通鑑長編紀事本末』(宋史資料萃編第二期。文海出版社)
  • 『皇宋十朝綱要』
  • 『宋代京朝官考』(巴蜀書社)

補足

北宋の官僚制度は、いわゆる元豊の官制改革で(高級官僚の機構は)一新します。もちろんこれは宰執にも当てはまります。簡単に言いますと、元豊官制以前の宰執は、同中書門下平章事と参知政事が宰相府(中書)を代表し、軍国の重大事(国政の最重要課題)のみ、そこに枢密院の長官と次官である枢密使と副使が加わりました。そして宰相府は文官人事を、枢密院は武官人事を握り、国政の最高権力を各々握っておりました。よって中書と枢密を両府と呼ぶこともあります。そしてこの下に百官の監視を掌る御史台の長官・御史中丞、国都開封府の長官・知開封府、皇帝の高級秘書官である翰林学士、そして通常政務一般を掌る三司の長官三司使が加わり、ほぼ朝廷の首脳は揃います。

これに対して、元豊官制は、枢密院こそ権力を縮小して機構を温存しましたが、宰相府は大幅な改正があり、三司使は廃止されました。元豊官制は唐の三省六部の制度を模して練り上げられ、宰相府には尚書左僕射兼門下侍郎(首相)、尚書右僕射兼中書侍郎(次相)、門下侍郎、中書侍郎、尚書左丞、尚書右丞の六人構成になりました。これら宰相集団がどのような形で政治を運営したかはいろいろな研究があり、人事権を握る中書を抑えた次相の権限が強かったとも言われておりますが、とにかくこのように宰相府の機構には大幅な変化がありました。

これを承けて、上の表でも北宋の宰執を、元豊官制以前と以後に分けて記述することにしました。宰執一覧(11)が奇妙なところで切れているのはそのためです。なお朝廷の最高幹部という意味では、これ以外にも御史中丞・開封府知事・翰林学士、元豊官制以前ならばそこに三司使を加えて一覧表を作るべきですが、これらの人々は就任離任の日時が判明しない場合が多いこと、そしてレイアウト的に一覧表に収まり切らないこと(横スクロールを必要とする)から、今回は断念しました。分量的にやや重いページもあると思いますが、表を細かく分けるとかえって利用の便が悪くなりますので、その点はご了承ください。

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